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その6 マリファナ合法化

私は昨年(2019年)の年末に、娘の出産前後の手伝いをするためにアメリカ合衆国シアトル郊外を訪れました。シアトルには、アマゾンやマイクロソフト、スターバックスといったアメリカを代表するような大企業が本社を構えています。シアトルの気候は、緯度が高い割には温暖ですが、雨の日がとても多く、特に冬は空にいつも暗い雲がたちこめています。街路樹にはメイプルツリーが多く、大きな手の形をした黄色や茶色の落ち葉が歩道にたくさん散り敷いています。また、遠景には、モミノキやヒマラヤスギなどの針葉樹が何本も高くそびえ立ち、灰色の空をバックに、まるで墨絵か切り絵のような静寂が感じられます。

シアトルに住む人の話では、この都市ではうつ病になる人が多いそうです。また、シアトルのあるワシントン州は、マリファナ(大麻)が合法となっていて、マリファナ入りのクッキーなども店で買うことができます。暗い空が続いてばかりなのでうつ病になりやすいのか、抑うつのせいでマリファナを使いたくなるのか、そのあたりの関連はあるのでしょうか。日本では、芸能人がマリファナ所持で逮捕されて大きなニュースになるので、シアトルのような観光地で普通にマリファナを買うことができるというのには驚きました。シアトルの観光案内でも、「自己責任で楽しみましょう」と細かい注意点などが出ています(https://visitseattle.org/)。アメリカでは50州のうち29州で医療用のマリファナが合法化されており、さらにそのうち9州では嗜好品としても合法になっています。

12月初めに、日本経済新聞でも、「大統領選の隠れた争点『大麻の合法化』」という記事が出ました※1。それによると、マリファナは、weedやpotとも呼ばれており、アメリカでは成人の2人に1人は使用経験があるそうです。合法化賛成派の意見では、嗜好品として合法化すれば、①警察がもっと悪質な犯罪を取り締まることに専念できる、②麻薬を合法的に販売することで、地方自治体の税収が増え、教育費などに使うことができる、③犯罪歴から削除することによって、マリファナを使用した人がその後仕事に就きやすくなる、などといった利点があります。逆に反対派の意見では、マリファナを吸っている人が運転すると、交通事故が増える懸念があります。

マリファナが合法化されたあとで、実際に交通事故が増えているのか調べてみました。いくつかの調査結果があるようで、CNNニュースの記事では、マリファナが合法化された州と合法化されていない州の交通事故の増加を比べていました※2。その結果は、合法化されたグループの方が、交通事故がより増加しているということでした。但し、交通事故全体の数の比較なので、必ずしもマリファナ使用者が引き起こした事故が増えているのかどうかは明らかではないということです。

日本で、マリファナの合法化が近い将来に起きることは考えにくいと思います。しかし、目まぐるしく変わる社会において、絶対ということはありません。もしかすると、医療目的のマリファナ合法化はありうるかも知れません。今後は、日本に住んだり働いたりする外国人もどんどん増えていく時代であると思われるので、医療や社会の常識もだんだん国際化されていくかも知れません。


※1:大統領選の隠れた争点「大麻の合法化」 日本経済新聞、2019年12月8日
※2:States that legalized recreational weed see increase in car accidents, studies say CNN, October 18, 2018

(2020/01/16 21:13:09)

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