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その27 JAXA!

11月9日、国際宇宙ステーション(International Space Station、ISS)に半年間という長期にわたって滞在していた日本人宇宙飛行士星出彰彦さんらが地球に帰還しました。長い間宇宙空間でさぞかし不自由な生活を送っていただろうから、私は「家族と温かい食事がしたい」とか「熱いお風呂でリラックスしたい」などの感想があるのかな、と思っていました。ところが15日のインタビューでは、「帰還する2週間前から、もう終わるのかと思った」とか「仲間たちとテーブルを囲んでする食事をとても楽しんだ」というコメントでした。かなり閉鎖した空間でいろいろなバックグラウンドを持った人々との生活をそんなに楽しめるのは、星出さんたち宇宙飛行士の皆さんのコミュニケーション能力がとても優れているからなのでしょう。

時が少し遡りますが、私は10月末に茨城県つくば市にあるJAXA(Japan Aerospace Exploration Agency)、宇宙航空研究開発機構の施設の筑波宇宙センターの見学に行きました。見学エリアには、ロケットや人工衛星の実物や模型が見られるようになっており、それらの大きさや構造を実感することができました。けれども現在はコロナ禍の影響で、施設内の見学もソーシャルディスタンスが再優先となっており、担当の係員などによる実演や解説はなく、実験棟「きぼう」の実物大模型や宇宙ステーション補給機「こうのとり」の試験モデルなども外から眺めるだけで、中に入って間近で観察できず、とても残念でした。

JAXAは、2003年にそれまでにあった航空宇宙関連の3機関が統合されて発足し、ロケットや衛星を打ち上げてさまざまな用途に役立てています※1。人工衛星の役割としては、インターネットや衛星放送などに代表されるような通信・放送の役割、GPSやカーナビなどの測位・測地の役割、気象観測や天気予報に役立つ地球観測の役割など、現代の社会生活になくてはならない大きな役割がいくつもあります。そのほか宇宙観測や軍事目的、宇宙実験などに使われることもあります。

それにしても宇宙での生活は、まだほんの一握りの人々しか体験していないので、われわれ一般の人間のあこがれではあります。最近、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスが10分間の宇宙旅行を成功させ、大きなニュースになりました。けれども実際に行くとなると、リスクの大きさも気になります。洋画の「オディッセイ」や「ゼログラビティ」、そして日本の「宇宙兄弟」などのフィクションでも、何か故障や事故があった場合の生命維持が大きな問題となり、ヒヤヒヤしました。
 実際ISSでの毎日はどんなものでしょうか※2、そして生命維持装置はどのように機能しているのでしょうか。まず、地球から100㎞以上離れた宇宙空間では、無重力状態になり、真空で空気もありません。宇宙からの実況中継で見るように、何もかもがフワフワと浮かび、体を移動するにはどこかにつかまって引っ張ったり押したりして動かなければなりません。ISSは地球からの高度が400kmあり、90分で地球を1周しています。つまりISSから見れば、地球が90分毎に回転し、明るくなったり暗くなったりします。ステーション内には空気を満たし、気圧や温度も調整するのですが、酸素は水を電気分解して作る装置があります。水は、空気中の湿気からの凝結水を集めたり、乗務員の尿を水蒸気にして再生するそうです。動力の電力は太陽電池を利用するので、ISSには大きな羽のような太陽電池のパネルがついています。水はとても貴重な上に液体も飛び散るか浮かぶだけなので、シャワーを浴びたり水で洗ったりはできず、ドライシャンプーや濡れた布や紙で汚れをぬぐうだけです。そして、食事はやはり大きな楽しみのひとつでしょう。日本からの宇宙食メニューは、おにぎりやラーメン、魚の缶詰やカレーライスなどいろいろあるようです。ISSでの生活を空想してみると、地球を眺めながらの宇宙遊泳と宇宙食は是非体験してみたいですね。


※1:人工衛星の役割と仕組み 馬場内隆男 筑波経済月報22-23,2016
経済月報2016年11月号_最終.indd (tsukubabank.co.jp)

※2:ISSでの日常生活
ISSでの日常生活 | JAXA 有人宇宙技術部門

(2021/11/24 19:23:15)

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