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その17 おうちミライ

新型コロナウイルス感染症がパンデミックとなって世界中に広がり、第2波、第3波の流行が毎日ニュースになり、戦々恐々とした毎日です。一方明るい兆しとしては、続々とワクチンが開発され、いくつかの国では一般国民に接種が開始されていることがあります。ワクチンに治験段階で示されたような著しい感染予防効果があれば、この感染症もそのうち終息に向かうことでしょう。でも現実的には、日本にいる私たちは今のところ、おうち生活を基本にして外出を控えた方が良さそうで、当分ストレスが溜まりそうです。そこで、将来的にコンピューター技術などがさらに発展した場合に、家での生活がどんなに楽しく、便利になっているのか、私は今回「おうちミライ」と題して想像してみました。

まずは朝の目覚めからです。20XX年の未来では、ベッドではなく、一人一人が個別の睡眠カプセルに入って眠ります。このカプセルの中では、快適な温度と湿度が保たれ、適度に換気されていますが、騒音などからはシャットアウトされており安眠が約束されています。眠っている間に地震や火事があっても大丈夫、耐震耐熱構造になっています。洪水で流されてしまっても、GPS機能で好きな場所に戻ることができます。さて、カプセルから起き上がるとコーヒーの香りが漂ってきます。「今日はモカね。果物はイチゴがいいわ。」というと、調理および配膳ロボットが、チーズトーストやサラダも載せたトレイを運んできてくれます。窓の景色は、ハワイの広々とした砂浜がリアルタイムで映像として映し出されます。波の打ち寄せる音と鳥のさえずりをBGMとして、ゆったりと朝食を取ります。

朝食が終わるとペットのワンコロボットが脚にじゃれて、遊んでとせがみます。ボールを投げてしばらく遊んでいると、秘書ロボットが来て今日の予定を教えてくれます。「午前中はニューヨークのスタジオでのワークアウト、午後は契約患者の診療があります。」「ランチは何か予定があったかしら?」「お友達のTさんと銀座の中華料理店でランチになっています。」ニューヨーク、銀座、そして仕事と目まぐるしいですが、実はすべて遠隔、リモートです。ニューヨークのスタジオではエアロビクスのレッスンがあり、インターネットで結ばれている生徒が映像で参加します。ランチはそれぞれ前もって銀座の店のメニューから料理を選んでおくと、ドローンまたは自動運転車で配達してくれて、家で温めるだけで食べられます。そしてランチタイムになったら、お互いパソコンのカメラの前に座って、おしゃべりしながら頂きます。

午後の私の仕事は、昔は訪問診療と呼ばれていたものですが、今はリモートで契約患者の定期的な診療や健康管理ができるようになっています。個々の患者さんにはそれぞれAIドクターがついており、日々の血圧や体温などのバイタルサインを測定、記録、管理してくれています。そのほか食事や水分摂取量、排尿や排便の回数も記録し、何か問題があると私に連絡してくれます。実は、AIドクターは診断や治療の能力もあるのですが、今のところはまだ人間の医師が監督することになっています。AIドクターのおかげで医者の仕事もとてもはかどり、楽になりました。

そして夜はリラックスタイムです。浴槽には温泉と同じ成分のお湯を溜め、浴室の壁には好きな夜景の映像が映ります。函館の夜景を見下ろしながら、露天風呂気分の入浴タイムはどうでしょうか。そのあとはマッサージ兼エステロボットが快適なお顔パックと全身マッサージをしてくれます。まどろんだところでベッドタイムへと、ぐっすり眠れそうです。

そのほか、朗読ロボットに本を読んでもらったり、ソーシャルロボットに話相手をしてもらうなど、未来の可能性はいろいろあります。逆に、何でも家にいながら1人でできるようになってしまうと、他人とのかかわりが減ってしまう懸念があります。仕事はリモートワークで、友達や知り合いとの会話はSNSで済ませられるので、1対1で対面して一緒に何かをする必要性があまりなくなります。それが結果として顕著に表れるのは、結婚・妊娠・出産の数の低下でしょうか。結婚相手を含む他人と知り合う機会が減り、結婚しない人が増えるかも知れません。するとわざわざ婚活して相手を見つけるよりも、むしろ自分の遺伝子を保存して(つまり卵や精子)、人工授精によって子孫を確保するという方が現実味を帯びてくるかも知れません。その頃には医療技術もさらに発達して、人工子宮で胎児が育てられるようになるかも知れません。SFの世界の話のようになってしまいましたが、いろいろな未来を想像するのは、今のストレスを紛らわすひとつの方法かも知れません。

(2020/12/30 05:18:32)

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