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その19 目の健康をチェック!

誰もが経験する目の老年性変化として挙げられるのは、まず老眼でしょう。私自身も40代後半から、普段かけているメガネで手元の小さい文字が読みにくくなりました。そうすると読書など細かい文字を読むのがおっくうになってしまいます。私は自分自身が眼科の診療をしていたこともあって、習慣的に見る物に目のピントをきちんと合わせて見るようにしています。したがって老眼を自覚してからは3種類のメガネを使うようになりました。ひとつは外出用の遠近両用メガネです。2つめは診察時や家の中で使う中間距離用のメガネ、そして3つめは、読書用の近用メガネです。私の知り合いの眼科ドクターで6個のメガネを使いこなしているという人もいました。上には上がいるものですね。
さて、老眼の原因は何でしょうか?まず、目で物が見えるしくみから考えてみます。人間の眼の中には、レンズの働きをする角膜と水晶体と呼ばれる構造物があり、これで物から来る光線を屈折させ、眼の奥にある網膜に像を結ばせて物が見えるというしくみになっています。さらに近くの物にピントを合わせるためには、水晶体の厚みが増して、より屈折力が強くなります。子供や中年くらいまでの大人は、この屈折力が十分にあるので、遠くも近くも見ることができるわけです。実は、水晶体の屈折力は、20代、30代の人でも年々落ちてくるのですが、老眼を自覚するほど落ちるのが40代あたりになります。そして屈折力が落ちる原因はというと、水晶体が加齢変化により硬くなって、厚みを変化させることが困難になることなのです。このように、加齢により次第にピントが合う範囲が狭くなるので、その都度必要な距離に合わせてメガネなどを作るのが良いと思います。使っているうちに最適なレンズの度数も変化すると思われるので、さらに適宜調整するのが良いでしょう。ピントをしっかり合わせると、読書を長時間しても目が疲れにくくなります。私も、メガネのかけ替えが面倒ですが、ピントが合ったメガネで読書を楽しんでいます。
私が感じるそのほかの目の不具合は、眼精疲労とドライアイです。これらの原因はと言えば、やはり毎日の長時間のパソコン使用だと思われます。以前はパソコンも仕事で使うだけでしたが、今はオン・オフを問わず、パソコンやタブレット端末、そしてスマートフォンと、考えてみれば1日中電子機器を眺める生活になってしまっています。そして、加齢によりさらに目が疲れやすくなったり、涙の出る量の減少などもきたし、眼精疲労やドライアイに影響しているでしょう。対策としては、長時間パソコンを見続けずに目を休めたり、目薬を使ってドライアイを軽減したりすることです。スポーツや気分転換なども改善効果がありそうです。
次にもっと深刻な病気の話題に移ります。中高年になったら特に気を付けたい目の病気が、緑内障と糖尿病性網膜症です。どちらも初期には自覚症状に乏しく、気が付かないうちに進行してしまうリスクがあります。また、網膜色素変性症とともに、日本人の失明の3大原因となっています。緑内障の有病率は40歳以上で5%と、比較的高いので注意が必要です。糖尿病性網膜症も、糖尿病のコントロールが良くても目の病気が進んでいくことがあります。はっきりとした症状がなくても、一度目の健診を受けたり、眼圧や眼底、視野の検査を受けることが良いと思います。
また、最近は目の病気を自分でチェックできるパソコンのサイトがあるので、これらを上手に活用すると良いと思います。緑内障の視野欠損に関しては、セルフチェックができるVIATRISが提供しているサイトがあります※1。この検査をする上で大切なことは、画面からの距離をきちんとセットすることと、視線を中央に固定したまま検査をすることです。緑内障で視野が欠ける好発部位があるので、それが検出しやすくなります。もし気になる結果が出れば、眼科専門医の受診が勧められています。さらにバイエル薬品と参天製薬が提供するサイトでは、糖尿病性網膜症などの網膜疾患に対する検査を自分で試すことができます※2。これはアムスラーチャートと呼ばれる検査法で、眼科でも実際に使われています。網膜はスクリーンの役目をしている部位で、健全であれば滑らかに広がっています。もし網膜に病気があって、一部機能が欠けていたり歪みがあれば、この検査が検出に役立ちます。どちらの検査も片目ずつすることが必要です。
※1:簡易版ノイズフィールドチェック|セルフチェック|緑内障の情報サイト (ntg40.jp)
※2:網膜疾患サポートサイトずっと見える情報局 (moumakushikkan.com)
(2021/03/17 23:02:01)