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その17 お肌ケア
私は数年前に、皮膚科ドクターによる「女性のための美容皮膚治療」をテーマにした講演を聞きました。内容は、皮膚の老化やアンチエイジング、シミなどのレーザー治療に関するものでした。それによると、皮膚の加齢による変化の第一は「乾燥」ということでした。私自身は若いころから油肌で、むしろニキビができることが悩みであったくらいなので、それまで皮膚の乾燥は自分にはあまり関係ないと思っていました。年とともに顔にシワやシミが出て来るのも、自然経過なので仕方がないと思っていました。ところがその講演を聞いて、私も皮膚、特に顔の保湿ケアは積極的にしっかりとする方が良さそうだと考え直しました。そこで早速基礎化粧品を、保湿効果の高い乳液やオイルなどに変えてみました。そうすると1日中皮膚がしっとりと感じられるようになり、そのうえ気になっていたシミも次第に薄くなり、消えてしまいました。恐るべし、保湿ケア。乾燥対策をするのとしないのとでは、随分違うと実感しました。
さて、皮膚はどのように老化するのでしょうか※1。皮膚の構造は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層となっています。加齢によって皮膚が乾燥するメカニズムはいくつかあります。まず表皮に含まれる水分が加齢と共に減少して、皮膚が乾燥し、カサカサになってきます。真皮にある皮脂腺からは脂肪が分泌され、皮膚表面に膜を作り乾燥を防ぐ役割があるのですが、この皮脂分泌も加齢によって減ってきます。さらに真皮にはコラーゲンやエラスチンなどの細胞外マトリックスと呼ばれる成分があり、皮膚に弾力を与えていますが、これらの成分も加齢とともに減少したり変性してきます。これらの加齢による変化の結果として皮膚は乾燥し、弾力を失ってシワができてくるわけです。実は加齢と共にできるシワは2種類あるそうです。ひとつは加齢に伴った自然経過でできる細かい縮緬ジワで、もうひとつは長年日光にさらされてできる深いシワです。後者では、光老化と呼ばれる、自然老化とは違った変化が起こります。そして異常な細胞外マトリックスが蓄積され、深いシワやゴワゴワした固い皮膚になるということです。そう知ると、日頃からの紫外線対策の重要性が理解できます。
表皮をさらに細かく見ると、外側から角層、顆粒層、有棘層、基底層という4つの層からできています。表皮の細胞は一番下の基底層で作られ、どんどん上に押し上げられ、有棘層、顆粒層の細胞となり、最後に細胞核がなくなり死んだ細胞となって角層にしばらく留まり、剥がれ落ちます。角層の細胞は、若い人では2週間ほどで剥がれますが、高齢者では3週間と長くなり、それと共に角層が厚くなり細胞もつぶれます。そうすると角質内に水分が行き渡らなくなったり、保持しにくくなります。このような変化によって、角質の水分量は、高齢者(平均73歳)では若年者(平均29歳)の3分の1ほどに減ってしまいます※2。また表皮には、ウイルスや細菌などの異物が侵入するのを防ぐバリア機能もあり、角層と顆粒層の細胞がその機能を担っています。ところが皮膚が乾燥するとバリア機能も低下し、湿疹や炎症が起きやすくなってしまいます。
このようにスキンケアでは、乾燥を防ぐことと紫外線を防ぐことがとても大切になってきます。化粧品などのスキンケア製品でも、アンチエイジングとして保湿や紫外線予防、または一歩進んで美白効果をうたっているものが多いようです。成分として具体的には、保湿剤、紫外線吸収剤、細胞活性成分、各種オイル、ビタミンCなどの美白成分などが入っているようです。但し美白効果に関しては、以前白斑が出て問題になったように、強すぎると逆効果な場合もあるので要注意です。私もいくつかの会社の製品を試してみたところ、それぞれ肌の張りが感じられ、良い感じでした。どれが一番良いとかいうのではなく、自分でしっとりとした保湿効果などが感じられ、満足感が得られれば良いのではないでしょうか。女性の方々はすでにこういった化粧品を使っていると思われます。むしろ、紫外線対策や乾燥対策を全く気にかけていない男性の方々にお肌のケアを是非勧めたいと思います。
※1:肌年齢って?肌の成長と老化のメカニズム 海老原全
※2:皮膚の老化 -とくにシワを中心に- 堀井和泉 Materials Life 7(2):66-71, 1995
(2020/12/30 05:16:18)