メディカルミッション

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 過去ログを読む(クリック)
その33 傷の治りとランゲルハンス細胞
その32 味覚障害と嗅覚障害
その31 ロコモティブシンドロームとその予防・対策
その30 私が決める私自身の介護
その29 清水選手『奇跡のレッスン』を見て
その28 健康寿命とシニアの体力テスト
その27 腰痛対策:骨盤を立てて座る
その26 セカンドライフの過ごし方
その25 誰にでも老化は来る
その24 スポーツ時の暑さ対策
その23 マインドフルネス
その22 コロナワクチン接種開始
その21 ネット依存、スマホ依存
その20 体年齢測定のしくみ
その19 目の健康をチェック!
その18 温泉は健康に良い?悪い?
その17 お肌ケア
その16 肩こりのツボマッサージ
その15 西洋医学がだめなら東洋医学はどうですか?
その14 下半身の筋力強化:バレトンがおすすめ
その13 シニアのスポーツ:私の5カ条
その12 インターネットでワークアウト
その11 夢のお告げ または 記憶のフィルタリング
その10 患者へのアドバイスの伝え方
その9 人間の宿命、腰痛とその対策
その8 ニュースとデマと現実と:新型コロナウイルス感染によせて
その7 寝る前ヨガ
その6 新・ウォーキングの常識
その5 ゴルフ肘、テニス肘
その4 良い姿勢の効能
その3 簡単で効果的なダイエット
その2 フットケア、私の場合
その1 体調を崩したあと、改めて健康に感謝!
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その15 西洋医学がだめなら東洋医学はどうですか?

高齢者の患者さんが訴える体の不具合の中には、検査しても異常が見つからなかったり、薬を飲んでもなかなか良くならない場合があります。すると長い間同じ訴えが続き、本人もずっと悩まされて困っていたりします。そんな場合には、私はいろいろな生活上の工夫を勧めたり、東洋医学的なものを提案してみたりしています。

高齢者施設で生活していたある高齢女性の患者さんは、長年耳鳴りに悩まされていました。耳鼻科で何度か検査しても特に異常なしという結果です。耳鼻科で処方されたビタミン剤や末梢循環改善薬を飲み続けていますが、効果はあまり感じられないようです。診察の際にも、「耳鳴りはずっとありますが、ほかの人には分かってもらえないので言わないようにしています」と諦めた様子です。この方は、本、なかでも辞書が好きでよく読んだりしているそうです。耳鳴り以外の症状としては、時に頭重感や不眠があり、また胃腸症状などで市販薬を飲んだりしています。

診察のたびに耳鳴りを訴えるので、私はこの方にまず生活改善を提案しました。高齢になると眼の調節機能が低下するので、小さい文字を長時間読むと眼や頭が疲労したり肩が凝って、頭痛やめまいなどの体の不調が出やすくなります。耳鳴りもそういった疲労やストレスが一因かも知れません。この方も眼をよく使うような日常生活で、頭重感つまり頭痛や不眠もあるので、疲労が蓄積していると思われました。あまり根を詰めずに休憩しながら読み物をしたり、首や肩の体操をして筋肉をほぐしたり、気分転換をするようにとアドバイスしました。ついでに五木寛之が「あきらめるということは明らかに究めること」と、年を取れば不具合はあってあたりまえと著書に書いている話をすると、「それは良いことを聞きました」と納得してくれました。

次に私が勧めたのは漢方薬です。漢方薬は、私自身も風邪気味の場合に葛根湯を飲むなど愛用しています。高齢の患者さんに対しても、胃腸症状のある方に大建中湯や認知症で怒りっぽくなる方に抑肝散などを処方し、比較的良く効くと好評です。もちろんフォローアップをして、効き目がない場合には中止します。さて、耳鳴りに効果ありという漢方薬はいくつかあり、本人も希望されたのでそのうちのひとつを処方してみましたが、あまりはかばかしくないようでした。本人は勧めた私に言いにくいようでしたが、施設の職員の話によると苦い薬は苦手だということでした。漢方薬は大体食前や食間に飲むことになっているのですが、食事の前に飲むと「食事がまずくなる」、それでは、と食後に飲めば「食事の味が台無しになる」と散々な感想だったようです。

この方はほかに肩こりや頭痛の症状もあったので、私はツボマッサージはどうだろう、と思いつきました。実は私自身肩や首がよく凝るので、自己流ですが肩こりのツボを時々押してマッサージしています。インターネットで調べてみると、耳鳴りや頭痛のツボもいくつかあります。耳鳴りのツボは、やはり耳の前や後ろ、頭痛のツボは頭頂部や後頭部などにあります。私が自分で押さえて試してみると、ジーンと芯に響いてくるのは、耳門(じもん)と呼ばれる耳の前やや上方のツボと翳風(えいふう)と呼ばれる耳たぶ裏側のツボ、そして後頭部の風池(ふうち)でした。くだんの耳鳴りを訴える方に、耳鳴りのツボをいくつか教えると、「早速やってみます」と前向きの返事でした。その後の診察時にも「先生、ツボの場所はどこでしたっけ?」と聞かれたりするので、その方も熱心ではないにせよ時々試したい気持ちはあるようです。

高齢者で慢性的に身体の不調を訴える方は結構います。病院で検査や治療をしてもあまり改善しない場合には、その状態に付き合って生活していかなければなりません。上に書いたように少し工夫して生活してみたり、東洋医学を試してみたり、またはほかに楽しみを見つけたりなどして前向きに生活してもらえれば良いと思います。

(2020/11/01 02:53:03)

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