やっぱり健康がいちばん!Good Health Comes First!
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その28 健康寿命とシニアの体力テスト

定年退職後の人生、すなわちセカンドライフをどのように過ごすかについて考えると、以前にも私のエッセイで指摘した通り「お金」「健康」「楽しみ」が重要なキーワードだと思います(やっぱり健康がいちばん!その26「セカンドライフの過ごし方」)。今回はこのうちの「健康」について考えてみたいと思います。
高齢者の健康に関しては、「健康寿命」を伸ばすことが大切だということや、シニアの体力は以前より改善していることなどが、テレビでも話題にのぼりました。健康寿命とは介護などのサポートなしに健康に暮らせる年数と解釈できるので、できるだけ長くありたい、すなわち健康寿命をできるだけ平均寿命に近づけることが理想的です。いわゆる「ピンピンコロリ」で人生を終わりたいと、多くの高齢者は思っているでしょう。
しかし、厚生労働省が発表した健康寿命と平均寿命との差は、2016年に男性で8.8年、女性で12.4年とかなり長い年数でした※1。健康寿命の定義をはっきりと知らなければ、10年前後も寝たきりで過ごさなければいけないのか、と暗い気持ちになってしまいます。
ところが実は健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されていて、そのあとすぐに「寝たきりになる」「介護が必要不可欠になる」というわけではないようです。実際には厚生労働省では、これまでアンケートの結果に拠るサリバン法という算定法を採用していました。具体的には、国民生活基礎調査票の中の「あなたは現在健康上の理由で日常生活に何か支障がありますか」という問いに「ない」と答えた回答を「制限がない」と決めます。これは国際的に採用されている方法ですが、人によっては、持病で薬を飲んでいる状態や、軽い慢性腰痛がある程度でも「何か支障がある」と考えるかも知れません。「日常生活に何の支障もない」というのは、「健康寿命」としてはかなり厳しい基準で、答える人の主観によるので人によって違ってしまうことが考えられ、しかもあいまいなものとなります。
実は厚生労働省でも健康寿命の定義の見直しを検討しているようで、有識者研究会では、「要介護2以上」を「不健康」と定義する見方も紹介しています※1。それによると平均寿命との差は、2016年に男性で1.5年、女性で3.3年となり、より具体的な「要介護2以上の介護」を要する期間となり、私の考えではこちらの見方の方が現実により即しており、一般の認識に近いと思われます。これらの年数を念頭におけば、たとえば施設入居は2,3年から5年程度、長い場合には10年程度必要という予想が立ち、老後に対しての心構えがより具体的になり、経済的な準備も行いやすいと思います。
次にシニアの体力ですが、これは体力テストの結果が年々向上しているということです※2。日ごろから運動に親しみ、健康への意識が高く、より活力にあふれる高齢者が増えてきているようで、喜ばしいことです。但し、高齢者誰もが運動習慣が増えたり、体力が増進しているわけではなく、運動する人としない人というふうに2極化される傾向にあるようです※3。
私は自分ではどれくらいできるかと思い、新体力テスト実施要項を調べてみました※4。全部で6項目あり、握力、上体起こし、前屈、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行です。高齢者向けの項目とはいえ、結構ハードなようです。
結局、長期的に運動習慣をつけて体力をできるだけ維持し、健康的に過ごしていくためには、楽しみながら運動することが重要だと思います。
※1:健康寿命のあり方に関する有識者研究会 報告書 2019年 健康増進法施行規則等の一部を改正する省令 (mhlw.go.jp)
※2:高齢者の体力向上なお続く スポーツ庁18年度調査: 日本経済新聞 (nikkei.com)
※3:高齢者の運動習慣 | 健康長寿ネット (tyojyu.or.jp)
※4:新体力テスト実施要項 (mext.go.jp)
(2021/12/30 20:49:07)